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2007年07月30日

埼玉県大滝村を事例としたダム移住にみる生活様式の変容~修士論文~

この20年間に全国では80カ所のダム建設により約8140戸が水没している。ダム移住者はもともと厳しい地形条件の山地集落に住んでおり、その土地の条件にかなった住み方を形成していたが集団移住地の区画された敷地に移り住んだために住み方が大きく変容せざるおえない状況におかれる。そこで本研究は、埼玉県の集団移住を事例として取り上げ、ダム移住における生活様式の変容について検討することを目的とした。まず、母集落での住居平面は部屋が直列に並ぶ直列型と2列に並ぶ並列型の構成となり、屋敷地の奥行方向に余裕があると並列型になることを導いた。さらに、家族はイマとオカッテで団らん、食事、接客、くつろぎを行い、個人は最年長世代がオクノディ、次世代が2階の部屋またはナンドを個室とし、行事・儀式は並列型がトバノディ、ザシキを利用し、直列型がイマ、オクノディのみで行う。社会生活は、班組織が水利用、情報伝達、葬式の手伝いを行い、氏子集団が地域の民俗慣行の継承に位置づいていることを求めた。移住後は住居平面がイマとオカッテ、続き間、2階の部屋で構成され、部屋の並びが並列型になる。家族は、イマで団らん、食事、接客を行い、個人は年長世代が続き間の1室、次世代が2階に個室とし、行事・儀式は続きまで行われているが、事例により異なる。社会生活は移住者のみで班を構成し、情報伝達、葬式時の手伝いを行う。氏子集団は移住者の再会の場となっている。以上、住居平面並列型からの継承がうかがえるが、ダイドコロが玄関に変わり、続き間が仕切られつつある。住み方は、個人がテレビ鑑賞、くつろぎを個室で行う。行事・儀式は、外部に委託し、母集落からの継承は見受けられない。社会生活は、地縁的結合から移住者であることの結合に変質した。つまり、ダム 移住により母集落の生活様式が変容していることを求めた。

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